ニースと東京にある1つ星フレンチレストランのオーナーシェフ・松嶋啓介さん。
正しい食・豊かな食を子どもたちに伝える食育活動をレストランでも行っている松嶋さんに、子どもたちの食のあり方についてお話を伺いました。
とはいえ、毎日が忙しいママさんたちですから、子どものことばかりに気を取られているわけにもいきません。
毎日の食生活のバランスを見ながら、美味しくおやつ感覚で成長期に必要な栄養が補えるカルシウムグミのような食品を子どもに食べさせるということも大切です。
子どもは自分で健康のための調整をすることができませんから、栄養管理のフォローをすることも、親がかける必要な愛情のひとつだと思うのです。
栄養バランスの摂れた食事を自分も一緒になって楽しむことを心がけて、プラスアルファで柔軟におやつ感覚で栄養のフォローを加えていく。そういう「愛情のバランス感覚」が、子ども達にとっての豊かな食生活につながるのではないでしょうか。
1977年、福岡県生まれ。20歳で渡仏。 2002年、ニースに「Kei’s passion」を、09年には東京・神宮前に「Restaurant-I」をオープ ン(その後、各店舗「Keisuke Matsushima」に改名)。06年に ニース店でミシュラン1つ星を外国人シェフとして最年少で獲得し たのを皮切りに、現在まで8年連続獲得中。神宮前店も11年より3 年連続で1つ星を獲得。フランス・日本の2カ国で星を与えられた日 本人オーナーシェフは、ミシュラン史上3人目にして最年少。ま た、2010年にはフランス政府より「フランス芸術文化勲章」を授 与されるなど、世界からも注目を浴びている。主な著書に『10皿で わかるフランス料理』(日本経済新聞出版社)などがある。
僕が「食育」の活動をする上で、子育てをするママさんたちに良くお話するのは「愛情」についてです。 一般的に食育という言葉を聞くと、「どうやって嫌いなものをなくせるのか」 や、「どうやって食事中のマナーやルールの大切さを教えるのか」ということを連想しがちです。
しかし、そのような視点の教えは、どうしても子どもに対する一方的な押し付けになってしまいます。むしろ、食事を通じた教育で重要なのは、「食べることの大切さを親と子が一緒になって考えること」だと考えています。
親が愛情を持って子どもに寄り添って、「この子にはどんな食事が必要なのか」を考えることさえできれば、実は特別な食育の活動をすることはないと思うんです。